
皆さんは、日々の暮らしの中で「ファッション」と「環境」がどのように関係しているか、考えたことはありますか?
実は、私たちが着ている衣服は、その生産から廃棄に至るまでの過程で、大量の二酸化炭素(CO₂)を排出しています。地球温暖化の主な原因の一つであるCO₂の削減は、今やアパレル業界にとっても避けて通れない課題となっています。
Contents
ファッションが環境に与える影響
衣服が完成するまでに発生するCO₂
衣服が完成するまでには、いくつもの工程があります。
まず、素材の栽培。綿や麻などの天然繊維は、農地の開墾や農機の使用、肥料の製造などにエネルギーを要します。
次に、繊維の加工・染色・縫製といった製造工程では、大量の水と電力、化学薬品が使われます。
そして、完成した製品は国内外の店舗へと輸送され、消費者の手に渡ります。
最終的に、不要となった衣類の多くは焼却処分されるため、ここでもCO₂が発生します。
このように、衣服1枚が生まれてから役目を終えるまでの間に排出されるCO₂の量は、決して少なくありません。
アパレル業界のCO₂排出の実態
国際連合環境計画(UNEP)の報告によれば、アパレル業界は世界のCO₂排出量の約10%を占めているとも言われています。
これは、地球温暖化に与える影響として、見過ごすことのできない数値です。
副資材にも求められる環境配慮
副資材の役割と環境負荷
衣服そのものだけでなく、タグやパッケージなどの副資材も、製品の一部として環境負荷に関わっています。
副資材は消費者の目に触れる機会が多く、ブランドの世界観や品質を伝える重要な役割を担っています。
その一方で、素材や加工方法によってはCO₂排出量に大きく影響することもあります。
企業姿勢としての副資材製造
目立たない存在だからこそ、企業としての姿勢が問われる――それが、私たちのものづくりの原点です。
私たちは、こうした副資材の製造においても、環境への責任を果たすべきだと考えています。
テンタックのCO₂削減への取り組み

環境に優しい素材の採用
副資材に使用する素材として、FSC認証紙やリサイクルプラスチックなど、環境負荷の少ないものを積極的に採用しています。
新たな資源の採掘や製造にかかるエネルギーを抑えることで、CO₂排出量の削減につなげています。
また、プラスチックから紙素材への切り替えや、ベジタブルインキの使用など、細部にわたる工夫を重ねています。
生産工程における課題と可能性
副資材の製造では、素材選びが環境負荷に大きく影響する一方で、加工や印刷などの工程にも改善の余地があると考えています。
現時点では、工程ごとのCO₂排出量を把握すること自体が難しいケースも多く、業界全体としても課題の一つとなっています。
今後は社内外の知見を参考にしながら、より環境に配慮した生産体制の可能性を探っていくことが重要です。
物流に関する現状と展望

物流に関しても、環境負荷の少ない輸送手段の選択やルートの最適化など、持続可能性の観点から見直しが求められる分野です。
副資材は少量多品種での配送が多く、効率化が難しいという側面もありますが、今後の業界動向や技術の進展によって、改善の可能性が広がることが期待されています。
廃棄物の削減とリユース・リサイクルの推進
副資材の廃棄を減らすため、回収・再利用の仕組みづくりにも力を入れています。
例えば、タグやパッケージの小型化・軽量化によって資材使用量を削減したり、再生可能な素材を使った商品開発を行ったりしています。
これらの取り組みは、環境負荷の低減だけでなく、コスト削減やブランド価値の向上にもつながっています。
消費者とともに進めるサステナブルな未来
企業と消費者の共創で築く持続可能性
企業だけでなく、消費者の皆さんの意識も、持続可能な社会の実現には欠かせません。
「環境に配慮した商品を選ぶ」「不要な資材を分別・リサイクルする」など、日々の選択が地球の未来を左右します。
私たちは、こうした消費者の皆さまとともに、環境に優しいファッションのあり方を模索し続けています。
副資材という立場から、サステナブルな商品づくりを支えることが、私たちの使命です。
未来への展望と業界への貢献
今後の取り組みと副資材メーカーの責任
今後は、完全リサイクル可能な副資材の開発や、CO₂排出量の見える化など、さらに踏み込んだ取り組みが業界全体で進んでいくことが期待されています。
また、環境配慮の基準づくりにおいても、副資材メーカーとして積極的に関わっていくことが、持続可能なファッションの実現につながると考えています。
次回予告|カーボンプライシングとは?
環境と経済の両立を目指すこの制度が、どのように企業活動に影響を与えるのか、ぜひご期待ください。
次回のコラムでは、企業が排出するCO₂に「価格」をつけることで削減を促す新しい仕組み、「カーボンプライシング」についてご紹介いたします。

