
「カーボンプライシング」という言葉をご存じでしょうか。直訳すると「炭素に価格を付ける」仕組みですが、その本質は、企業や個人が排出する二酸化炭素(CO₂)にコストを課し、温室効果ガス削減を社会全体で促す考え方です。
気候変動への危機感が高まる中、世界各国で導入や検討が進み、企業経営やサプライチェーンへの影響も年々大きくなっています。では、なぜこの仕組みが注目され、サステナブル事業にとって追い風となるのでしょうか。今回は、その背景と仕組み、メリット・課題、そして副資材・包材分野への影響を詳しく見ていきましょう。
Contents
なぜ今、カーボンプライシングが注目されるのか
カーボンプライシングが注目される3つの理由
・科学的知見が示す現実
産業革命以降、CO₂濃度は急上昇し、気温上昇や極端気象、生態系への影響が顕在化しています。対策の遅れは、長期的な社会的コストの増大に直結します。
・従来の自主的取り組みの限界
ボランタリーな削減だけではペースが不十分という認識が広がり、より強力な仕組みが求められています。
・政策と市場の連動強化
気候リスクは「評判」だけでなく、「規制」「コスト」「資金調達」「競争力」に関わる経営課題となっています。
ここで重要なのは、価格シグナルが意思決定を変えるという点です。CO₂排出にコストが付くことで、企業は原材料やエネルギー、製造プロセス、物流、製品設計の見直しを進める動機が強まります。副資材や包材でも、環境負荷の低い素材選択やリサイクル設計がより重視されます。
カーボンプライシングの仕組み

カーボンプライシングの代表的な2つの制度
・炭素税
CO₂排出量に応じて税を課す仕組み。シンプルで予測しやすく、長期的な投資判断に役立ちます。一方で、税率や公平性、国際競争力への影響が課題です。
・排出量取引制度(キャップ&トレード)
排出上限を設定し、企業に排出枠を割り当てる仕組み。余剰枠は売却、不足分は購入可能。効率的な削減が進む一方、価格変動リスクがあります。
さらに、社内炭素価格(インターナル・カーボンプライス)を設定し、投資判断に反映する企業も増えています。規制の有無にかかわらず、自主的に炭素コストを事業計画に織り込むことで、脱炭素経営を前倒しする動きです。
世界と日本の動向
EUによる炭素国境調整(CBAM)とグローバル影響
EUは排出量取引や炭素税を強化し、炭素国境調整メカニズム(CBAM)も導入。輸入品に炭素排出量に応じたコストを課すことで、域外企業にも脱炭素対応を促す仕組みです。こうした規制と市場の両面から脱炭素を強力に推進しており、グローバル企業のサプライチェーン全体に波及しています。
日本国内の制度導入と民間の対応加速
日本でも炭素税や自治体の排出量取引、Jクレジットなどが進展。企業のTCFD対応や再エネ導入、SBT目標設定など、民間主導の動きも加速しています。こうした潮流は副資材・包材の設計と素材選択に直結し、「炭素コストを見える化して意思決定する」企業が確実に増えています。
カーボンプライシングのメリットと課題

メリット
行動変容の促進:
炭素に価格が付くことで、削減のインセンティブが明確化し、設備更新、工程改善、素材転換の意思決定が進みます。
イノベーションの加速:
低炭素技術、再生可能エネルギー、循環型素材の市場が拡大し、研究開発投資が呼び込まれます。
公平性の確保:
環境負荷にかかるコストを価格に反映し、社会全体で適切に負担できる仕組みに近づきます。
課題
コスト負担の増大:
短期的には企業のコスト上昇につながり、価格転嫁の難しさや消費者影響が課題になります。
国際競争力:
制度間の非対称性が大きいと、地域間の競争力格差やカーボンリーケージ(排出の海外移転)が生じ得ます。
設計の複雑さ:
税率・キャップ設定、対象範囲、収入の使途(グリーン投資や還元など)をどう設計するかで効果が左右されます。
企業は、排出量の可視化(LCA/CFP)、サプライヤー連携、再エネ投資、循環設計を戦略的に組み合わせる必要があります。
副資材・包材業界への影響
素材選択と工程全体に広がるカーボンプライシングの影響
カーボンプライシングは素材選択に直結します。
FSC認証紙、リサイクルプラスチック、バイオ素材など、環境負荷の低い素材は炭素コストを抑えやすく、経済合理性の面でも評価されます。
さらに、印刷・加工工程の省エネ化、輸送効率改善、環境情報の開示(CFP表示)など、工程全体での削減が求められます。結果として、環境性能の高い副資材は「規制対応」だけでなく「ブランド価値」「海外市場での通用性」という観点で選ばれやすくなります。
まとめ|企業価値を高めるカーボンプライシング対応
カーボンプライシングは「善意」から「合理性」へと環境対応を進化させる仕組みです。素材選択や工程設計、物流戦略にまで影響を広げ、サステナブルな製品づくりを後押しします。
私たちテンタックは、FSC認証紙やリサイクル素材の提案、工程改善、仕様最適化などを通じて、お客様の環境配慮を支えるパートナーであり続けます。ぜひご相談ください。

